ガラスに、「繊細」や「壊れ物」というイメージを持つ人は多いでしょう。
こういった特性はデザイン面では大事ですが、家を守る「建材」としてはマイナス要素になってしまいます。
ガラスは強化した方が良いのでしょうか?
今回はガラスを強化することの目的や、強化窓ガラスの使い方などについて、詳しく解説していきます。
絶対割れない窓はない!ガラス強化の必要性2つ
光を通して室内を明るくしてくれるガラスは、私たちの家作りには欠かせない素材です。
ただし衝撃に弱く、割れやすいのは困りもの…。
ガラスの製造技術は紀元前3000年ごろに確立し、その後技術革新が続いてきました。
ですが残念ながら、現在の技術でも「絶対割れないガラス」は作ることができません。
ガラスの強化は私たちの安心・安全な生活に欠かせない、次の2つの重要な意味を持っています。
必要性1. 財産を守る
透明度が高く光を取り込むガラスは住宅用窓ガラスや室内扉、家具などにも使われますが、建材としての窓ガラスは、雨風から人や財産を守る役割を担っています。
窓ガラスが割れやすいと泥棒や不審者の侵入を許し、生活が脅かされるかもしれません。
必要性2. 命を守る
ガラスは生活の役に立つ一方で、割れると鋭い破片となり、私たち人間に襲いかかります。
特に大きな面積を占める窓ガラスは危険性が高く、地震や台風などの自然災害時、掃除機を間違ってぶつけた際や子供が転倒して手をついた拍子にも、ガラスは凶器に変わるのです。
こちらの記事では、住宅用窓ガラスが割れてしまったときの対処法についてご紹介しています。
修理に保険を使えるかについても解説していますので、確認をしておきましょう。
強化ガラスは窓の防犯には不向きってホント?
絶対に割れないというガラスは作れませんが、そのかわり、「強化ガラス」は作ることができます。
強化ガラスは板ガラスを約700℃近くまでの高温に加熱し、その後急冷処理をして作った機能ガラス。
ガラスを破壊する引張応力を打ち消す圧縮応力層を表面に形成させることで、通常のガラスの3~5倍も割れにくい強度を備えています。
ただし強化ガラスは泥棒などの侵入を防ぐ、「防犯ガラス」としては使えません。
なぜなら加熱処理を施した強化ガラスは、「点の衝撃に弱い」という特性もあわせもっているから。
強化ガラスは『面』での衝撃(ボールがぶつかるなど)には通常のガラスに比べて格段の強度を持ちますが、『点』の衝撃(ノミのような鋭利なもので突くなど)を受けると一瞬にして崩壊し、泥棒の侵入を簡単に許してしまうのです!
そのてん2枚のガラスの間に特殊フィルムを挟み込んだ合わせガラス=防犯窓ガラスであれば、繰り返し強い衝撃を受けても5分程度は破壊に耐えて泥棒を撃退できます。
泥棒が窓ガラスを破壊する手口は以下の記事で解説していますが、大事な家を守るためにガラスに要求されるのは、割れにくい粘り強さです。
窓ガラスの防犯用には、防犯窓ガラスを選びましょう。
強化ガラスを住宅に使うポイント
どんなに強度を高めた強化ガラスでも、財産を守ることができません。
ですが、強化ガラスは「安全を守る」という大事な目的を達成しています。
強化ガラスは限界を超える衝撃を受けると一瞬にして崩壊しますが、その破片は微細なサイコロ状になり、一般的なフロートガラスのような鋭い破片になることはありません。
つまり割れてしまっても危険性は低く、命を脅かすような大きな被害を予防できるのです。
強化ガラスは防犯目的に窓ガラスに使うのは不向きですが、インテリア家具や、次のような場所に使うのは非常に効果的だといえます。
- 室内用のガラスドア
- 子供部屋
- お風呂場や浴室の窓
- 強風や圧雪の被害を受けやすい部屋の窓
- 庭や公園に面した、ボールなどの飛来物が届きやすい場所の窓
お家のなかで安全性を優先する場所や、危険から身を守る必要のある部屋を見分けて、強化ガラスを家作りに賢く使っていきましょう。
安全対策を含めた総合的な窓リフォームに関しては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
二重窓や雨戸の設置といった方法も解説していますので、参考にしてみてください。